読売日響・第560回定期演奏会

梅雨明けが遅れている首都圏、昨日は北の空に暗雲が立ち込める中、土砂降りに見舞われては敵わんと少し早目に家を出て赤坂のサントリーホールに出掛けます。
この作戦が図に当たったようで、ホールが開場して直ぐに大粒の雨が降り出したそうな。コンサートが終わった9時過ぎには雨も上がり、私共は傘持参で出掛けたものの、結局使わずに帰宅することが出来ました。

昨日は読響の7月定期。今月予定しているコンサート行はこれが最後で、あとはミューザ夏のお祭りを当日券で摘み食いするかどうか、というスケジュールです。
この暑い季節にマーラーは敵わん、と思いつつ出掛けた次のプログラム。

ハイドン/交響曲第6番「朝」
     ~休憩~
マーラー/交響曲第6番「悲劇的」
 指揮/コルネリウス・マイスター
 コンサートマスター/小森谷巧
 フォアシュピーラー/長原幸太

暫く読響のホームページを見ていませんでしたので、ホワイエの告知掲示板に吃驚。今回初めて聴くコルネリウス・マイスター Cornelius Meister という指揮者が2017年シーズンから読響の首席客演指揮者に就任するというのです。
この指揮者、現在はウィーン放送響の首席兼芸術監督で、同オケとは日本ツアーも敢行。また新国立でフィデリオを指揮しており、読響とは今回が2回目の由。知らなかったのは、初台のオペラも海外オケの来日公演にもあまり興味の無い私が疎かっただけ。
前回の読響初登場は一昨年の9月で、アルプス交響曲などで好評だったとのこと。少なくとも定期演奏会は今回が初登場の筈で、初見山がいきなり首席客演という大きなポストに就く、ということに驚いたワケ。

今回のプログラムはハイドンとマーラーの第6交響曲を並べたというユニークなもので、「朝」と「悲劇的」自体に深い関連はないでしょう。単なる数字のお遊びだと思います。プログラム誌には「交響曲第6番は人生の岐路?」というエッセイが掲載されていましたが、これは若干無理があるのか、と。
それはともかく、注目のマイスター。ホームページはこれ↓

http://www.corneliusmeister.net/

登場した弱冠35歳? 先ず来ている燕尾が目立ちます。こういうことに詳しくないので間違っているかもしれませんが、ベルヴェットという生地でしょうか、衣裳に凝るタイプか。
写真で見るようにスリムでハンサム。見るからに女性ファン(もちろん年増も含めて)を魅了しそうなダンディーです。

オケの弦はセカンドとヴィオラが入れ替わった配置。対抗配置の一種でしょうが、コントラバスは舞台上手奥のいつもの定位置でしたから、純粋なヨーロッパ型ではありません。
ハイドンは暗譜で、マーラーはスコアを見ながらの指揮で、マーラーは新しい校訂版を使用。第2楽章が緩徐楽章、第3楽章にスケルツォという順序で演奏されました。

今回が初めてでも、来年以降は少なくとも年2回はナマ演奏に接する指揮者。私が苦手とするマーラーの6番でもあり、この1回だけでマイスターを云々するのは差し控えましょう。
ただ、見て、聴いていて極めて疲れる指揮者だということだけは書いておきます。
ハイドンは全楽章、マーラーでも初めの二つの楽章は特にそうで、マイスターは楽章間の休みも指揮のポーズを崩さず、聴き手に咳払いの余裕を与えぬママに次の楽章に進んでいくのです。さすがにマーラーの第2楽章のあと、第3楽章のあとではポーズを緩める様子も見られましたが、本人は全曲を一息で振る構え。これには少々閉口しましたね。

帰宅してからホームページを見て知ったのですが、1980年にハノーヴァーで産まれたマイスターは、生地の大学で指揮を大植英次に学んだ由。
それで、と言うことでもないでしょうが、その指揮スタイルには大植と共通するハッタリ的な要素が感じられます。この日の聴衆に読響応援団や評論家氏の顔が並んでいたのにも、妙に納得してしまいました。

メリハリが利いて聴き手を飽きさせないハイドン、重厚長大作品を得意とする読響パワーを全開に曳き出したマイスターのカリスマ的手腕に、客席も大喝采。下野の後任として首席客演指揮者のポストを射止めたマイスターに期待しましょう。
18/19シーズンからはカンブルランの後任としてシュトゥットガルト歌劇場の音楽総監督に就任とのこと。この若さで重要な地位に就くということは、彼の才能の証であると同時に、ヨーロッパ楽壇の人材不足を現しているのかも。

私見では、マイスターは3年間の客演を経て、余程のことが無い限りはカンブルランの後任として読響の首席指揮者に抜擢されるような気がします。それを予感させるような昨夜の歓迎ぶりでした。

 

 

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